2004/01/18

福沢諭吉 「文明論之概略」、「福翁自伝」

まだ半分くらいであるが、すこし感想を述べてみたい。
まずとても威勢がよくて読んでいて痛快である。論旨も明快で、志も高い。今、智徳の弁のところを読んだのだが、ここはあんまり楽しくなかった。知恵と徳義を区別することが大事で、日本には圧倒的に知恵が足りない、だから西洋の知恵を吸収しよう、徳は日本にも神仏儒の教えがあって西洋に負けないものがある、というのは、どうなんだろうか?

ひとりひとりは賢いのに集団になるとダメ、という、丸山の言っていたことが書いてあった。丸山がここからとったのかな。

ここまで読んだ限りでは、とにかく科学技術を西洋から取り入れて、日本も西洋に追いつかなきゃならん、という焦りのようなものが見える。徳はさておき、とにかく智だ、実だ、というわけである。そのまま突っ走って行き着く先は自殺的特攻、敗戦、事実上の植民地化である。

マルクス、キェルケゴールとほぼ同世代だね、福沢。幼稚な感は否めない。キェルケゴールなんかデンマーク人だから、名前も知らなかっただろうな。マルクスの名前は聞いたのかな、福沢は?


引き続き、福翁自伝を読んだ。
だいたい福沢氏がどんな考えかわかった。
また、攘夷と開国で割れていたかのように教科書などには書いてあるが、実際は攘夷一色であったらしい。
福沢はニヒリストだ。芝居もろくに見ない。無神無仏と自分で言っている。獣身を先に後から人心をと、典型的な唯物論者だ。