2007/07/11

平野啓一郎 「日蝕」 

芥川賞をとったときは騒がれた。文芸春秋を買って読もうとしたが読めなかった。
石原がケチをつけていた。当時はやたら難しい言葉をつかうなと思ったが今読んでみるとそうでもない。あらためて読んでみるとなんだかドラクエやFFの世界のようである。当時は京大法学部ということなどにビビっていたのだが、しょせんはまだハタチくらいのガキ(失礼)の書いたものである。

キリスト教の話がでてくるのだが、彼はいったいどう思っているのだろう。
クリスチャンなのだろうか?信仰が人格のすばらしさにすりかえられていてはダメだ、受肉したことの意味が大切だ、などはいいところをついているのだが、いったい彼はキリスト教をどうとらえているのか。

錬金術、アンドロギュノス(両性具有)、魔女・・・
異端とされているものを賛美しているように見える。
アンドロギュノスの火刑はあきらかにイエスを意識しており、冒涜していると怒られてもしかたないだろう。
エログロナンセンス・・・・
ただ、一気に読まされたし、ときどきうっとりするような気にさせられたのも確かである。なんでこんな文体なんだというイラつきもなくはなかったが・・・
読み終わって、私の本棚の三島コーナーの横にしまってやった。