2008/07/10

DEEP RIVER

宇多田ヒカルはデビュー時にセンセーションを巻き起こしたが、私はその時には冷ややかに見ていた。R&Bをマネして藤圭子の七光りで注目されてるだけじゃねえのかよ、と。

しかしDEEP RIVERはすばらしかった。このアルバムは彼女が結婚する直前に出たアルバムだと思う。多分結婚した彼のことを歌っている曲が何曲もあるだろう。それ以外にもTravelingのどちらまで行かれますちょっとそこまで不景気で困りますドアに注意とかいうやりとりに感心する。

彼女のアルバムを全部聴いたわけではないが、これが最高傑作だろう。
これより傑作のアルバムを作ってたら、もう、許さない。

2008/07/04

吉村昭 「破獄」

吉村昭の「破獄」を新潮文庫で買った。
今日、ファミレスで食事をした後読んでみた。
これは、しばらく前に緒形拳主演でNHKでドラマをやっていたのを見て、ヘンな感動を覚え、読んでみたいと思っていたものだ。
吉村氏はたしか最近亡くなったのだが、ガンになったが延命治療を自ら断って死んでいったとかいう事を聞いた。

最初の一章を読んで、なるほど、と、普段そんなことはまずしないのだが、パラパラとページをめくっていると、ひっくり返っているページがある。上下が逆なのだ。2、30ページくらい。こんな文庫本は新品でも古本でも見たことがない。
発行年月日などが書いてある脇に「落丁、乱丁はお取替えします」と書いてあるのはいつも見ていたが、本当にお取替えすることがあるとは。

多分、いまどき新潮文庫でこんな乱丁があるのはかなり珍しいことじゃないかと思う。
めんどくさいな。もう一冊新しいの買ってすまそうかな。

新潮社に送ったら多分丁重な詫び状つきで返ってくるとは思うが、
面倒なので、さいわいレシートもあったので、買った店に取り替えてもらう。


虫の知らせだったのだろうか。読んでいる途中で緒方拳が亡くなった。そして昨日、破獄が再放送された。そして今日、読みかけの破獄を新宿の喫茶店で読み通した。脱獄名人は最後はおとなしくなって出所し、まっとうな生き方をして死んだらしい。最後のほうは、恐ろしい脱獄犯にも情けをかければ通じる、みたいな展開になって、ちょっと安っぽくなってしまったように感じた。でも事実なのだから仕方がないが。読み通すのに苦労する小説だった。