2008/10/05

悪い奴ほどよく眠る



NHK BS2で。テレビがおもしろくないしカゼぎみでだるいので見た。
19インチワイドディスプレイ、Sケーブルでの映画鑑賞を試す意味でも。
なんだかんだ文句を言いつつよく見ているクロサワ映画。
この作品はクロサワ作品のなかでもあまり人気がないようだ。
まず、汚職を暴くみたいな、三流ジャーナリストみたいな話なのがつまらない。
むしろ、映画は悪そのものを描いてほしいくらいだ。

西村晃演ずる下っ端の翻弄されっぷりは面白かった。

この作品がいまひとつすっきりしないのは、脚本が5人だか6人だかいたことではないだろうか。
各登場人物に、脚本家たちの言いたいことをおのおの代弁させているようで、メインの人物が定まらない。

メインが定まらないといえば、三船敏郎がめがねをかけて刈り上げてぴっちり横わけにしていたのも、
そういう役柄だとしても、あまりに地味で魅力に乏しい。

魅力があったのは西の義理の弟になる酒飲みのドラ息子だが、脇役でしかなかった。

クロサワ映画の嫌いな理由のひとつは、安っぽい正義感というか、体制批判みたいなものがあることだ。それはすなわち、芸術ではなくて娯楽に堕している理由でもある。そういう意味では、武は黒澤に勝っていると思う。絵の撮り方や話の作り方(脚本?)はクロサワの方が上手だけど。武のよさって、やっぱり彼の絵と同じようにヘタウマなんだと思う。