2009/04/08

夏目漱石 「坊ちゃん」

で、その次に読んでいるのが夏目漱石の「坊ちゃん」。
これは中三のときに感想文を書いた本で、
厭世的な内容で、われながら傑作だと思ったが、
学校の先生にしてみたら手放しでほめるわけにはいかない内容だったかな。

久しぶりに夏目漱石を読んだのだが
やっぱりタダモノではない。
なんだろう、この疾走感というのか、
ロックンロールのような軽快さ、

明治時代に書かれた文章なのになんの違和感もなく入ってくる。
そんじょそこらの現代作家よりも百倍、なじむ・・・。


「坊ちゃん」は通勤時などにちょこちょこと読んでいるがまだ終わっていない。
さて、文体のことでなく、話の内容について触れてみよう。
「坊ちゃん」は若い教師のおもしろエピソードみたいなイメージがあるが、
とりようによっては人間の醜さをさらしているとも読めて、
晩年の「こころ」に通じるものがある。
つまり恋敵を転勤させるとか、
新人教師を生徒がバカにするとか。
「こころ」では恋敵を出し抜くようなマネをして、
恋敵は自殺し自分も後に自殺する・・・
しかし私は、こんなことは文学のテーマにするにしては低級というか、取るに足らないことだと思う。
所詮文学なんてそんなもの?
いや、そうは思わない。
私はもともと漱石をそんなに評価していない。
それはやっぱり、内容の無さから来る。



「坊ちゃん」終わり。

なんでも一気呵成に書き上げ校正もほとんどなかったとか。モーツァルトみたいに。

ひとつほめるとするなら、清の存在である。
「坊ちゃん」のなかでの清の存在は、「こころ」の明治天皇のように、
それがなければ何の変哲も無いお話になってしまうところを、文学たらしめているポイントである。
「こころ」の天皇はまぐれかと思ったが、
「坊ちゃん」を読んで、そうじゃないのかなと思った。