集英社文庫。
中島らもの作品は、「今夜すべてのバーで」しか読んだことがない。それは、先にテレビドラマを見ておもしろかったので原作も読んでみたのだ。
今日、本屋へ寄って、なんとなく買ってきたのだが、家に帰って読み始めて、これは一度図書館で借りて読んだことがあるのを思い出した。
ただ、あまりちゃんと読んでいなかったのだろう、ほとんど憶えていなかった。
私はドラッグにとても興味がある。幸いカネも度胸もないので試せなかったが、コカインなどはぜひともやってみたいと思うくらいだ。
私は多分、依存心が強いというか、自己から逃避したい気持ちが強いのだろう。
中島氏は、人がドラッグをやる理由は「気持ちよいから」だと言っている。それは子供の頃くるくる回って目が回るのを楽しむのと同じようなものだという。
そしてその気持ちよさとは「自失」である。我を忘れて酩酊すること。そしてそれが行きつく究極は死である。
中島氏は最後、階段から転落して亡くなったらしいが、あれは自殺だったのではないだろうかと思った。
というか、それまでの生き方が全部自殺のようなものだった。そしてそれは本人も自覚していた。
私は大麻を合法化すべきだとか、ドラッグは精神を解放するだとかいう考えはもっていない。ドラッグなどをやる人間は心が弱いのだと思っている。自分は薬物に興味は持ちながらも、手を出していないことに誇りも持っている。
ドラッグに対しては否定的なのだが、ドラッグにおぼれた人にはあこがれといってもいい感情を持ってしまうことも否定できない。