2015/01/25

江戸川乱歩

小説はめっきり読んでいない。

細雪は去年のうちに読んでしまおうと思っていた。

8月に中巻を読み終わって、あとは下巻だけだ、まあ年末までには読めるだろう、

と思っていたが結局読めなかった。


細雪は、あんまりおもしろくない。ときどきおもしろいエピソードが出てくるのだが、

全体的にあまり劇的でないのだ。関西風な、薄味な感じなのだ。


それが谷崎の描きたかった世界なのかもしれないが。



さて、今朝の日経新聞に、江戸川乱歩についての記事が出ていた。

亡くなって50年たつとかなんとか。


私は小学生のとき、少年向けに書き直されたという、江戸川乱歩の少年探偵団シリーズを全部読んだ。

とても面白かったのだが、私にとって江戸川乱歩は漫画やテレビ、つまり、仮面ライダーとか、あしたのジョーとか、宇宙戦艦ヤマトとか、天才バカボンとか、そういう世界と同じようなものだった。

江戸川乱歩は、私にとっては文学ではない。


今朝の新聞記事でも夏目漱石と並べられていたが、だんだん彼の評価が高まっているように感じるが、私は江戸川乱歩はあくまでもエンターテイナーであって芸術家ではないと思っている。


別にエンターテイナーが劣等なわけでも、芸術家が高等なわけでもないが。


しかし、私はここ数年、「高尚と低俗の違いは何か」ということの答えがわかりかけている。

AKB48とベートーベンの何が違うのかということが。


だから、江戸川乱歩と夏目漱石は違う、ということも、私は確信しているのである。

説明するのは難しいが。


uffizi

最近全然本を、小説を、読んでなくて、書くことがない。

そういえば、12月にuffizi展を観にいった。

このブログはいわゆる「芸術」についてのものなので、絵画についても書いていいのだ。

が、時間が経ってしまって、印象が薄れてしまっている。


絵画を観ることなどめったにない。数年に1度くらいだろうか。


uffizi展は、ほとんどが「宗教画」であった。イエス、マリア、聖ペテロ、パウロ、とか。

目玉はボッティチェッリである。


彼の名は学校の歴史の教科書で強調されていたが、私はボッティチェッリという人の絵がそんなにすばらしいものだとは、今までは思っていなかった。

なんだか硬直したような、無表情な、何が「ルネッサンス」なのか、という感じだった。


しかし、uffizi展で並べられていた同時代の画家たちの絵と比べてみると、ボッティチェッリはやはり何か違った。


リアルだとか、生き生きとした表情とか、そんな単純なことではないのだが、私にはそのようにしか表現できない。


でも、私は「ルネッサンス」というものを、すばらしいものだと思っていない。

フランス革命とか、民主主義とかも。


その前が暗黒時代だったとも思っていない。

ペストが流行ったのはいいことではないが、疫病が蔓延したら暗黒時代だというのは、それこそ迷信ではないか。