2018/11/03

陰影礼賛

谷崎潤一郎

この随筆は名作だと頭の中にあったのだが、内容をまったくと言っていいほど覚えていなかった。

読んでみると、忘れていたというより、明らかに読んでいない。

厠の話が出てくるが、こんな話を読んでいたら絶対に忘れないはずだ。


陰影礼賛は、たしか高校生の国語の授業で、一部をコピーしたものを読んだだけだと思う。

その一部だけを読んで感心はしたのだが、全部は読んでいなかった。

題名の通り陰影を、薄暗さの良さを書いているのだが、特にそれは建築について書かれていた。


これを読んだすぐ後に、たまたま出張で中国へ行った。

泊まったホテルは中国では最高級の立派なホテルなのだが、明かりが薄暗い。

自分の泊まる部屋へエレベーターであがって廊下を歩いているときに、

『あ、陰影礼賛だ。こういうことか』

と軽く驚いた。


廊下も暗いし、部屋に入って明かりを全部つけても物足りない感じがする。


外を歩いても、店などのあかりはついているのかわからないくらい微かだ。



もう慣れてしまったが、日本のほうが明るすぎるのだろう。