2024/07/06

松本人志論2024

YouTubeで、中山秀さんが千原ジュニアと対談しているのを観た。

まずニュースで、中山氏がダウンタウンが出てきた時に勝てないと思った、というようなことを聞いて、「まてまて、お前ダウンタウンに対してクソみたいな扱いしたんじゃないのかよ」と思って、それからyoutubeを観た。

松本氏が、ガキのフリートークで、まだ若い頃に正月に放送する(確か明治神宮でのロケ)番組で、あるタレントに尊大な態度を取られて不快な思いをし、さらにそのタレントが自分達よりも全然格下であるということを怒りを交えて話したことがある。私はその放送を確かリアルタイム(放送自体は録画だが視聴したのがという意味で)で観ていたし、youtubeにアップロードもされていたから、もう何度も観ている。(探したが今は無いようだ)

その尊大な態度をとったタレントが誰かは放送では伏せられていたのだが、中山氏であるというのはほとんど常識のようになっていて、私の中ではもう1つの事実として整理されていた。

私は中山氏を知ってはいるが、彼をお笑い芸人だとは思っていない。でも、彼も当時の「お笑いブーム」の中で、コンビを組んでコントのようなことをやっていたのも知っている。

中山氏は高校生の頃から芸能活動をしていてTVタレントとしてはダウンタウンより先輩なのであるが、年齢は中山氏の方が下だ。

正月の屈辱以後ダウンタウンは芸能界を席巻して、中山氏など比べるべくもない活躍をした。


そして、松本氏は60歳になった時にスキャンダルで突然活動を休止した。それから半年が過ぎ、中山氏を観た。中山氏を見るのは久しぶりだった。若い頃と容貌はほとんど変わらず、もう56歳になるのに若々しく、話す内容も表情も、不快に思うところは全くなかった。


むしろ、最近の松本人志の方が、金髪にしたり筋トレしたり髭をはやしたりしている外面的なこともそうだが、表情とか目の色とか、話すことの内容も、こんなことになったからあらためてそう思うのかもしれないが、くたびれていたというか、もっというと腐り始めていたような感があった。


中山氏は有名タレントではあるが、一体何者なのか、歌手でも俳優でも漫才師でもない、「なんの芸もない」、というのが私の認識で、おそらくテレビに出ている彼を見ていた人々もほとんどがそうだっただろう。


でも今回、久しぶりに彼を観て、そして彼の今までの芸能生活を振り返っている話を聞いて、自分が接してきたテレビとか芸能界とかいうものを自分でも振り返って、いろいろ経験も経てきて自分の社会人生活とか様々な人間関係の悩みやストレスと合わせて考えて、少し、自分の考えや生き方というものを考え直さなければならないと思った。


基本的に私は今回の松本氏のスキャンダルについて、告発者やその告発を載せた週刊文春に対して疑いを持っている。事実かどうかがわからないのでどちらが正しいとか擁護するとかいうことにもならないと思うが、松本氏がそんなことをするはずがない、告発は言わばガセ、ハッタリ、カマかけの類だろうと思っている。


でも、ガセでもなんでも、そういう告発が出てしまったということについては、やはり松本氏になんらかの落ち度があった、隙があった、驕りや油断があった、というのは半年経った今では認めざるを得ないだろうと感じている。


中山氏の姿を見て、彼には全くそんなつもりはないだろうが、私には(もう40年くらいになるのか)、勝ったのは彼だと思わせさえした。


そもそもダウンタウンこそ、なんの芸もないその辺にいるチンピラみたいな若者が言いたい放題言うのを売りにしたタレントだったのではないか。そういう意味ではABブラザーズもダウンタウンも、当時の素人に毛の生えたような連中がワイワイガヤガヤするタレントのひとつに過ぎなかった。


ダウンタウンに才能があるとか技術があるとかいうことが言われるようになったのは彼らが売れに売れた後だ。それまではみんな、ただ面白いから、胸の空くようなことを、痛快なことを、言うに言えない事を代弁してくれたから、応援していただけだ。


中山氏は、当時を振り返って、ダウンタウンとウッチャンナンチャンという二つのコンビの名前を出して、自分達には到底かなわないと思った、と語ったが、これも、今になったから言えることではないだろうか。


私もダウンタウンにずっと笑わされてきた。彼らの出る番組はほとんど観ていて、そのうち彼らの出る番組しか見ない、というくらいになった。

でも、私はダウンタウンのファンであるかと言われると、そうではない。

ダウンタウンが今までの芸能界に現れたタレントの中でも稀有の才能の持ち主であるとみなしているかというと、そうであろうが、果たしてそれは芸術とか文化と言えるようなものであったかと聞かれると、後世に伝えるべき何かがあるのかと言われると、ただ馬鹿騒ぎしていただけのくだらないナンセンスなその場しのぎの憂さ晴らしでしかなかったかな、というのが実際だと思えてしまう。


だったら、誰に馬鹿にされようと、嫌われようと、売れて生き残った方が勝ちではないのか。


何年も、何十年も前の事を蒸し返すような告発が最近いくつかあったが、

中山氏の出演も、非常に穏健ではあるが、一切明示されてはいないが、私にとってはその一つであった。「俺は彼らには全く勝てなかった」と言ったことが、逆に彼の勝利宣言のように聞こえた。


(追記)

これを書いたあと「街録チャンネル」で中山氏が「明治神宮事件」のことを語っているのを見た。明治神宮、野球ネタ、というキーワードからこのことで間違いない。

中山氏は、「自分がダウンタウンにネタを変えさせたなどということはない、そんなことができる立場ではなかった」と語っている。

松本氏が話を膨らましたというかデッチあげたのか。「ABブラザーズとかいうつまらないコンビのためにネタを変えさせられた」という屈辱から話を作ったのか。松本氏はその、ネタを変えさせられたときのことを、変えさせた人物のマネをしながら語っていた。繰り返すがその人物が誰かは放送を見てもわからない。もしかしたら、プロデューサーとかディレクターとかなのだろうか。