2007/05/10

太宰治 「火の鳥」

太宰の未完の長編とやらが青空文庫にあったので暇つぶしに読んでみた。
安っぽいテレビドラマのようだった。「富嶽百景」と同じ頃に書いたらしいが。
続いて坂口安吾がほめていた「男女同権」、「親友交歓」というのを読んでみた。
傑作だろうか?私は好きではない。「男女同権」のほうは「人間失格」のやけっぱちの原型のようなものが見える。「親友」のほうは、前にも読んだが、とにかく後味が悪い。

それからつづいて太宰に関する評論のようなものをパラパラと読んだ。
そして、今日、思ったのは、もしかして太宰は変人ではなく、普遍的なのは太宰のほうなのではないか、ということである。
太宰は性格破綻者で破滅型で無頼派であるという人々、生活に嫌な雲があるとか言う人、酒さえ飲まなければとか言う人、そういう常識人ぶった人の方が実は変人なのではないか、ウソなのではないか、太宰のような照れ屋で自意識過剰でやさしくてスケベで酒が好きで女が好きなようで嫌いで、という方がほんとうなのではないか、いつまでもいつの時代でも彼が人気者なのは彼が普遍だからではないか、なんて、彼が死んだのとほぼ同じになった今、思う。