最高傑作。
映画館には私以外にカップルが一組だけだった。
映画が始まる前の20分くらいの広告や予告編にイライラする。
ようやく本編が始まる。
最初に映るのはトイレの個室の上の部分で、タバコの煙が立ち昇っている。
そういった、美しくない絵にならないカットから唐突に始まるのは大日本人と同じ感じだ。
本作は形式的には大日本人と似ている。
しかし、全編に渡って地味だ。爆笑したり涙が出るような場面はない。
映像はモノクロというか、セピア色である。
電話をするシーンが何度かあるが、携帯電話ではなく、一昔前の電話機や公衆電話である。
あまり意味はないかもしれないが時代は現代よりやや古い設定のようだ。
この映画で一番よかったのはCGの使い方である。
主人公は女王様に虐げられると表情が変わる。その表情の変化は演技によるのではなくCGで作られる。顔が丸くなってて目が細くなる。朝青龍のような顔だ。
基本的に面白いのはそこだけだ。
終盤に少し展開の変化があるが、それは特に注目すべきところではない。
今までの作品にあったような、正義とか親子とかいったようなテーマもない。
しいて言えばSM、特にMについてがテーマかもしれないが、そんなに深刻に考えるようなものでもない。
ナンセンスで支離滅裂な内容である。
そしてそれこそは、松本人志に、少なくとも私が求めるものである。