これは中学生の英語の授業で習うと思う。
リンゴが複数あって、一つのリンゴがan apple
もう一つのリンゴがanother apple
リンゴが2つあって、一つのリンゴがan apple
残り一つがthe other
みたいに。
が、それから50年ほどたって、まあ英語にそれほど触れていたわけではないがthe other, the others という語を見ることはほとんどなかった。あったとしても別に何も疑問に思うことなく聞き流したり読み流したりしていただろう。
しかし、anotherは非常によく使われる。
そして、anotherの意味は、「何かが複数あってあるものがあって、もう一つのもの」みたいな感じではない。
anotherというのは、日本語で分かりやすく言えば「あるものと同じもうひとつの何か」である。
もしかして「そんなの知ってるよ、そう習ったよ」という人もいるかもしれないが、私がその考え方を知ったのは確か30歳のころである。
そして、最初の例に挙げた複数のリンゴのようなものについてでanotherという語はあまり使われない。
例をあげるのがいいと思う。
Pink Floydの Another Brick In The Wall
All in all, you're just another brick in the wall
訳すなら
結局、あなたは壁を構成している多数のレンガの一つにすぎない。
「を構成している多数の」というのが余計かもしれないがそういう意味である。
そして、ここでは「別の」という意味がない。
むしろ、あるレンガがあって、あなたはもう一つの別のレンガなのだが、
言いたいことは「別のレンガである」ということではなくて、それはあるレンガと何も変わらない「同じレンガ」なのだ、ということなのである。
このanotherの使い方はちょっと皮肉というか、文学的というと大げさだが、ある意図がふくまれている。
私の感覚では anotherという語はこのように「違うものだけどあるものと同じ」という意味での使われ方が多い。
あるいは、追加のような意味。