2008/01/13

宮本輝 「幻の光」

今朝の朝刊にインタビューが載っていた。そのなかで、「なるべく抽象的に書くようにしている」と書いてあった。持っていた「幻の光」という短編集を読んでみた。表題作のほかに、夜桜、こうもり、寝台車という作品が収められていて、表題作は少し長いので他の3つを読んでみた。不思議な、不気味といってもいい作品ばかりである。「抽象的」というのがどういうことかはまだ掴みきれていないが、わかったことは、オチのある話でも、「いい話」でもない、ストーリーが中心ではないということである。これが小説である。小説と言うのはいったい何がいいたいんだ、という、つかみどころのないものである。


「幻の光」

また自殺の話。くらい話。でもうっとりする。文学とはこういうものである。オチのある話、イイ話、主義主張を述べる話、そういうのではなくて。