私が初めてレコードプレイヤーを買ったのは高校生の時、198x年だ。
そして初めて買ったレコードはサザンオールスターズの「ヌードマン」である。
週に1回くらい、近所の歌詞レコード屋へ行って、1回に3枚くらい借りて、カセットテープにダビングし、歌詞カードをコピーしていた。
それからレコードがCDに置き換わったのは2、3年くらいのうちだったと思う。
CDで聴くのが当たり前になった頃に、たしか1995年ごろ、職場の人と雑談していたときに、アナログレコードとCDの音の違いについて話したときに、まあまあ音楽に詳しく演奏家でもある人が、比較にならない(くらいレコードの方がよい)と言っていた。
私の聴く音楽はいわゆるポップスやロックなどなので、そんなに音質にこだわらないからいいか、と、そういう話も聞き流していた。
それから音楽を聴く媒体はCDからMP3に変わっていった。MP3になると、ビットレートにもよるがさすがに音質の劣化を感じ始めた。
「音が悪い」というと、私にとっては「クリアでない」「雑音が多い」「曇ったような、こもったような感じ」「小さい」という感じが多いのだが、MP3の音質の悪さというのはそういうことではなく、キメが粗いというか、画像にたとえると解像度が低いというか、ザルですくったような感じというか、自然現象では経験しない、なんとも気持ち悪い感じだ。
そういう気持ち悪さは、「CDやMP3はデジタル化しているので微妙な周波数がカットされている」というような話を聞いたからそういう風に思い込んでいるというのもあるかもしれない。
iPhoneを使うようになって、音楽はイヤホンをして外で聴くものになった。家にいるときに音楽を聴くことがほとんどなくなった。
そして聴く音楽は若いころ聴いた古いものばかりで、クラシックやジャズなどは聴かなくなっていった。
1枚のアルバムをじっくり聴くことが減り、ほとんどなくなり、何かするときにBGMとしてシャッフルで流しておくことが増えた。
自分の好きなアルバム、アーティストの最高傑作は何か、などを考えていた時に気づいたのが、そういうときに選ばれたものはほとんど、アナログレコードで聴いたものだということだった。
さて、レコードプレイヤーを買って聴いてみた感じはどうだったか。
スピーカーがパソコンで使うような小さなものだったりするのだが、
最初に感じたのは、「鉛筆で書いた絵のようだ」という感じだった。
針を落としたときに「プチ」っといったり、細かいノイズは聞こえる。
レコードに触ったり傷つけたりしないように気を使うしひっくり返すのも面倒くさい。
でも、音楽を聴くというのは、それくらいの手間をかけて当然ではないだろうか。
そもそも、レコードさえ、演奏の録音であって、録音など音楽ではないというミュージシャンの意見も聞く。
レコードで聴いていると、いつもiPhoneでイヤホンをして聴いている音楽が退屈で物足りなくなってくる。
人間の声より、バイオリンとかサックスとかピアノの音が聴きたくなる。