2008/10/03

宮沢賢治と江戸川乱歩

私は小学生の頃、図書館で二人の作家の全集を読破した。
江戸川乱歩と宮沢賢治である。
江戸川乱歩のほうは、少年向けの「怪人二十面相シリーズ」である。たしか全43巻くらいだったと思う。
宮沢賢治は12巻くらいである。
途中から、全部読むことが目的になったようなところがあって、上の空で読んでいた部分もあると思うが、この二人から多大な影響を受けたのは間違いないだろう。

小学生のとき、「家庭学習」というものを義務付けられていた。
これは普通の宿題ではなく、みずから勉強することを決めておこなうものである。

わたしはある日、家庭学習として、宮沢賢治の詩をノートに書き写した。
そのうちのひとつは「永訣の朝」である。
これは若くして亡くなる妹について書かれているため、子供ながらに強い印象を持った。

だが、今読み返してみると、悲しくはあるがまた非常に美しい詩である。
描かれている情景、雪、曇り空、松の木などもそうだが、
賢治の語りとその合間に挟まれる妹の「あめゆじゅとてちてけんじゃ」などの岩手弁が、音楽のようにながれるようなリズムで刻まれている。

あと、「だめでせう」。
これは眼にて云ふの書き出しであるが、
これも強烈に覚えている。