2008/10/19

村上春樹 「風の歌を聴け」

最初はフムフムなるほど、と思ったが途中からムカつき始めた。書いてあることにはまったく共感できないのだが、80年代、私が高校生、浪人、大学、社会人になる頃の、浮かれた世間、酔っ払った世間、軽薄短小、スコラ、GORO、イカ天、きまぐれコンセプト、金魂巻、そういう記憶がよみがえってきた。つぼ八、村さ来、日本酒、ゲロ、チノパン、ボタンダウン、ローファー、ワンレン・・・・

セックスを軽視する風潮、カタカナ、モラトリアム、透明、無表情、スカした感じ・・・

村上春樹を読んだ印象が、「ニューロマンサー」に似ている。「ニューロマンサー」を読んだきっかけになったのはあるブログの記事だったのだが、そのブロガーは村上春樹についてもよく書いていて、彼の作品が出たら即日入手して読むとか言っていた。彼は私とたぶん同い年でコンサルタントで高額所得者でアル中でたぶん***だ。きっと村上もバブルを描いたのであって、それが無機質というか虚無的というか、酔っ払いのたわ言のような変に理屈っぽくてナンセンスな語り口になっているのだろう、キザと言ってもいい。デビュー作なのでちょっと気負いがあったのではないか、ピンボールではキザさが抑えられて、いい感じだった。「羊をめぐる冒険」も買ってある、これは楽しみだ。

「ふぞろいの林檎たち」、「東京ラブストーリー」、「カーンチ、セックスしよう!」的な雰囲気も思い出した。あの頃はなんだったのかな、幸せだったのか浮かれてたのか、今よりまだマシだったのか、よくわからない。

あの頃、なんだかわからないけど、俺はあちこちふらついてた。タバコを吸いながら。大宮、川崎、南町、栄町、平日の昼間に。「カラマーゾフの兄弟」を読みながら。「死に至る病」を読みながら。インターネットもiPodもなかった頃。