iTunesにはいっている曲のジャンルの中で一番多いのは「Rock」で、1000曲くらいあった。
だが、私は「ロックが好きです」とは口が裂けても言えない。
そして私はボブディランとかザフーとかセックスピストルズとかを聴いているときに「ロックを聴いている」という意識はまったくない。
そもそも音楽にジャンルなどあるのだろうかというのが私の考えであり、ジャンルなどというものは無視している。
さらに、「ロック」に関しては、スピリッツというのか、メッセージ色とか、ポリシーとか、反骨精神、反逆、反体制みたいなものを帯びていなければならないとされているようなところがある。
「そんなのロックじゃない」「ロックってのはこういうもんだ」
などと、「ロック」のファンやアマチュアミュージシャンはよく言う。プロはあまり言わない。
「ロック」に関してのミュージシャンの発言で私が知っているものをあげる。
「ロックは死んだ。セックスピストルズは史上最高のロックバンドだった。」(ジョンライドン)
「俺はザ・フーは世界で唯一のロックとは何かがわかっているバンドじゃないかと思うことがある」(ピート・タウンゼント)
「ロックンロールに別の名前をつけるとしたら『チャック・ベリー』だ」(ジョン・レノン)
ロックンローラーは強い酒を飲まなきゃいけないとか、無鉄砲で後先考えないとか、大衆にこびないとか、そういったつまらないこだわりがまとわりつくのがいやなので、私は「ロック」というジャンルわけを好まないのだ。
だが、確実に「ロック」という音楽のジャンルは存在しているとも思う。
ロックは誰が始めたのか。ビルヘイリー&コメッツだとか、チャックベリーだとか、エルヴィスプレスリーだとか、ビートルズとかローリングストーンズだとか、諸説あるが、ブルースが源流であるのは間違いないだろう。
そしてブルースというのは私は「無調音楽」だと思っている。
ブルースの音階は長調でも短調でもない。
そして、ロックはブルースと何が違うのかというと、シャッフル性がなくなったものだと私は理解している。ブルースはタッタタッタタッタタッタという、ハネるリズムであったが、ロックではズッタンズッタンあるいはズタタタズタタタという、直線的というか平板的なリズムを特徴としている。
その生み出す世界はやはり無の世界、虚無の世界である。