Google Playで 1076円で買えた。
デンマーク語なんかもちろん読めないが、今は瞬時に翻訳ができる。
これは「最も不幸な者」というタイトルの部分を翻訳してみたものである。
原文は「DEN ULYKKELIGSTE」であるが、選択して右クリックで翻訳すると「最悪」となる。
Συμπαρανεκρωμενοι というギリシア語のキーワードがある。
カタカナで書くと「シュムパラネクローメノイ」
キルケゴールの造語らしいが日本語にすると「ともに死んだ者たち」というような意味だそうである。
訳注に「ルキアノスとへブル書とプルータルコスにある類似の意味の語にならってこの語を作った」とある。
であれば、その類似の語とは何か知りたくなる。
iPhoneのyouversionという聖書アプリを持っているが、このアプリは聖書を各国語で読める。
ざっと見て「死者」と関係ありそうな語をギリシア語で確認してみたが下記に「νεκρωμένον」という語が見つかった。
「Γι’ αυτό, και από έναν, μάλιστα νεκρωμένον, γεννήθηκαν σαν τα αστέρια τού ουρανού κατά το πλήθος, σαν την άμμο που είναι κοντά στην άκρη τής θάλασσας, η οποία δεν μπορεί να απαριθμηθεί.」
ΠΡΟΣ ΕΒΡΑΙΟΥΣ 11:12 FPB
「このようにして、ひとりの死んだと同様な人から、天の星のように、海べの数えがたい砂のように、おびただしい人が生まれてきたのである。」
(1955年 口語訳)
ギリシア語といってもキルケゴールが読んでいた聖書のギリシア語は現代ギリシア語とは違うかもしれない。
「ネクロ」というのが死者の意味だというのは聞いたことがある。
ネクロマンサーとか、ゲームのキャラクターでネクロとか見たことがある。
「συμπαρα」は「ともに」というような意味の副詞らしい。
(参考)
あとは「μενοι」
「μένοι」だと「滞在」という意味で
「μενοι」だと「メニュー」という意味らしいが、
なんか動詞の活用語尾っぽい感じもする。
「古代の悲劇的なものの現代の悲劇的なものへの反射
ー断片的詩論ー」
に、「シュムパラネクローメノイに対する講演」と書いてあって、
「シュムパラネクローメノイ」達に語り掛ける形式となっており、
ときどき「シュムパラネクローメノイ諸君」と、呼びかけるところがある。
そして第一部上巻の最後は「最も不幸な者」は彼らへの熱狂的挨拶ということになっている。
この語は以下のように複数の綴りで書かれている
Συμπαρανεχρωμενοι
συμπαρανεκρωμεvot
Συμπαηανεκρωμενοι
編集時の誤植なのか本人の間違いなのか意図したものなのかは不明。
「あれかこれか」の後半は、前半で書いたものに自分自身で批判するような内容となっているらしい。楽しみだ。
まだ前半の半分だけど。
キェルケゴールは母国語以外にドイツ語、ラテン語、ギリシア語、イタリア語くらいは読めたようだ。
多分ラテン語とギリシア語は神学を学ぶ者には必修だったのではないだろうか。
ドイツ語は日本人にとっての英語以上、たぶん第2公用語くらいの位置付け、大学では必須というかドイツ語の講義とかもたくさんあったのでは。
そして、モーツァルトはイタリア語を読み書きできたらしく、イタリア語で書いた手紙も残っているそうだ。
ドン・ジョバンニの台本はイタリア人の作家が書いたそうだが、イタリア語がわからなければ、曲は付けられないだろう。