2025/11/06

オーディオテクニカのイヤホン

私はイヤホンはだいたいオーディオテクニカのものを使う。違うメーカーのものを使ったこともあるが、特にオーディオテクニカを上回る性能や品質だと感じたものはなかった。appleのAir Pods Proも含めて。

別にオーディオテクニカのイヤホンが素晴らしいというわけでもない。なんの特徴もない、普通のイヤホンである。

ATH-CKS660XBTをしばらく使っていたのだが、再生・停止ボタンのゴムのカバーが破れてしまった。使えてはいるが、押しにくいし水などが入って壊れそうなので新しく買うことにした。同じものを買ってもいいのだが、何か良さそうなのはないかと探したらATH-CKS330XBTという、3000円くらい安いものがあって、レビューが高評価でよく売れているようだったので買ってみた。

形はほとんど同じなのだが、330の方がイヤホンとコードの接続部分が少し大きい。また、その部分が660はメタリックな感じでやや高級感があるが330はメタリックさが抑えられていて全体的に真っ黒なプラスチックでやや安っぽく感じる。

肝心の音質であるが、330を使い始めた時はほとんど違いを感じなかった。まあ、聞く音楽が音質を気にするような音楽ではないし、外出時に騒音の中で聴く場合がほとんどなので微妙な差はわかりにくいのだが。

しかし、しばらく使っているうちになんとなく330は音がイマイチだなと感じるようになった。なにが悪いのかと言われると説明が難しいが、聴こえる音域が狭いような感じ。スペック的にも330より660の方が音質はよいらしい。

あと、電池がすぐなくなるように感じる。660の時は、「battery level is high」以外であることはまずなかったのだが、330ではmediumとなったことが何度かある。

値段の差があり、品質や性能の差も微妙なので330でいいとも思うのだが、高いといっても660は8000円くらいなので、どうせなら660を選んだ方がよいと思う。

しかし、どちらも再生・停止ボタンはゴムでおおわれており、すぐに破れてしまうのは同じ。ここをなんとかしてもらいたい。



2025/09/28

No Country for Old Men (2007)

ジョエル・コーエン、イーサン・コーエンが監督、脚本

原作は同名の小説でコーマック・マッカーシーという人が2005年に書いたもの。

話題になったので見ようかなと思ってみずにいたが、もう18年も経っていた。

youtubeでこの映画が紹介されていて引き込まれて全部見たくなった。

DVDを買って観た。

シーンは残酷だったり不気味な内容が多いのだがとにかく映像が美しいと感じた。

構図や光の具合、時代は1980年ころのようだが、車や家具なども落ち着いているというかギラギラしていない感じがよい。

ストーリーは正直よくわからないし、何が言いたいのかもよくわからない。

No country for old men というタイトルの意味もよくわからない。メキシコとの国境を越えるシーンで少し関係あるのかと思ったくらい。

感動するところは全くない。

映像の美しさと説明的でないところが心地いいなと感じるくらい。

2025/09/22

Hotel California

Hotel Californiaという曲は有名でいい曲だとは思うが、歌詞の内容がよくわからない。曲調と、断片的には聞き取れるちょっと物騒というか不気味というか、そういうフレーズからして明るい内容ではない、というのはわかるのだが、何が言いたいのかよくわからなかった。

作詞はドン・ヘンリー、作曲はドン・フェルダーと別人である。

よく見るMVでドラムをたたきながら歌っているのがドン・ヘンリーで、ドンフェルダーはネックが2本あるギターを弾いている人で、たぶんホテルカリフォルニアでソロを弾いている。(後で確認したらソロは二人で弾いている。もう一人はジョー・ウォルシュ。というか、ソロはジョー・ウォルシュが弾き始めて途中からドン・フェルダーが加わっている。)


On a dark desert highway

Cool wind in my hair

Warm smell of colitas

Rising up through the air

Up ahead in the distance

I saw a shimmering light

My head grew heavy and my sight grew dim

I had to stop for the night


ホテルに泊まることになるという導入部。

ここでまずわからないのが colitas

私が持っている3冊の辞書のどれにも載っていない。検索すると砂漠に生えている植物の名前らしいが、「大麻」の隠語として使われることもあるらしい。

洋楽でクスリのことを歌うのは珍しくないが、今まで聴いた曲で colitas という語が出てきたのを見た(聴いた)覚えがない。

映画や小説などで「コリタス」という語が出てきたのも。


コリタスはコリタスとして、大麻の隠語であるとして、それは別にいい。1976年のアメリカの曲に大麻が出てきても驚くことは何もない。

コリタス以外の歌詞は、特に難しいことも、特別素晴らしいところも、感動するようなことも、わくわくさせられるようなこともない。

むしろ、desert highway, shimmering light, my sight grew dim, stop for the night など、そんなに英語の詩に詳しいわけではないがよく目にする、凡庸といっていい語句、月並みな韻の踏み方という感じがする。


There she stood in the doorway

I heard the mission bell

And I was thinking to myself

"This could be Heaven or this could be Hell"

Then she lit up a candle

And she showed me the way

There were voices down the corridor

I thought I heard them say


「彼女」が登場する。mission bellとは何か?

なにかしらの鐘の音だろうとは思うが、調べてみるとそんなによくある、使われるようなものではないようだ。

植物の名前でもあるらしい。「聞いた」とあるので植物ではないだろうと思うが、もしかしたら洒落なのかもしれない。

次に、「天国か地獄かと考えた」とあるのだが、唐突かつ大げさである。

まだホテルの入り口で女性が一人現れただけなのに。

これも「bell」と「hell」で韻を踏ませただけで深い意味はないのではないか。

「彼女」がろうそくを灯して道を示す。

廊下に声が聞こえる。


she show me the way

I heard them say

これも月並みなただのごろ合わせでは。



"Welcome to the Hotel California

Such a lovely place (Such a lovely place)

Such a lovely face

Plenty of room at the Hotel California

Any time of year (Any time of year)

You can find it here"


「ホテルカリフォルニアへようこそ」

lovely place

lovely  face


lovelyは日本語でも「ラブリー」として使われるが、もっぱら若い女性などがかわいらしい、という意味でつかわれる。

日本語で「ラブリーなホテル」ということはないし、英語でもnice placeとかいうのが普通なのではないか?

そして lovely face

ん?なんのこと?誰の顔?「彼女?」もしかして人の顔じゃなくてホテルの外観みたいな意味?


たくさんの部屋がある

1年のいつでも見つかる。何が?部屋が?「ここで見つかる」だから、ホテルが見つかるのではない。ホテルにある、部屋ということだろう。


よくわからない詩だ。


Her mind is Tiffany-twisted

She got the Mercedes bends, uh

She got a lot of pretty, pretty boys

That she calls friends

How they dance in the courtyard

Sweet summer sweat

Some dance to remember

Some dance to forget


この辺から、なんとなく「意味」が出てくる。

作者が言いたいことがなんなのかがだんだん見えてくる。

Tiffany-twisted というのは、ブランドのティファニーで心がねじ曲がった、要は「ティファニーかぶれ」みたいな意味らしい。この言葉も調べてみると一般的なものではないようで、「ホテルカリフォルニアに出てくる語句」という情報が見つかる。

車のベンツは正しくは「Benz」であるが、これは意図して、「bends」としているようだ。つまりこれも「曲がった」という、悪い意味。

彼女には友達と呼ぶ「かわいい少年たち」がいて、踊っている。

まあ、バカな尻軽女、なんでしょう。


So I called up the Captain

"Please bring me my wine", he said

"We haven't had that spirit here since 1969"

And still those voices are calling from far away

Wake you up in the middle of the night

Just to hear them say


captainを呼びワインをくれという。キャプテン?

ホテルの支配人みたいなことだろうなとは思うが、調べるとアメリカで「ホテルのボーイ長、レストランの給仕長」みたいな意味でつかわれるらしい。これは特に深い意味はないか。

そしてそのキャプテンが「その酒は1969年からない」と答える。

この、1969というのは意味深で、いったい1969年に何があったのか?と思わせるが、

説明はない。


あと、wineをくれといっているのにわざわざ that spiritと言っているのは、「魂」とのダブルミーニングだという人がいるが、そうだとしても1969年に何があったのか......


"Welcome to the Hotel California

Such a lovely place (Such a lovely place)

Such a lovely face

They living it up at the Hotel California

What a nice surprise (What a nice surprise)

Bring your alibis"


ホテルカリフォルニアはlovely place, lovely fase

live it up というのは贅沢に暮らす、大いに楽しむ、という意味らしい。


What a nice surprise

Bring your alibis

ここも唐突かつ無理やり感がある。


bring your alibisとは?

これも一般的な言い回しではないように思う。「アリバイ」とは日本語になっていて刑事ドラマなどで犯人と疑われたものがそのとき別の場所にいたことの証明という意味で使うが、英語でもそれでよいようだ。

そうだとしてもピンとこないのだが、ホテルカリフォルニアで贅沢に遊ぶというのはあまりよいことでは、大っぴらに言えるようなことではないから、うまくごまかして、というようなことか。


Mirrors on the ceiling

The pink champagne on ice

And she said, "We are all just prisoners here

Of our own device"

And in the master's chambers

They gathered for the feast

They stab it with their steely knives

But they just can't kill the beast


天井の鏡、ピンクのシャンパンに氷

「贅沢に遊ぶ」の描写。


次に彼女が言った言葉がまた意味深というか意味不明

「私たちは我々自身の装置の単なる囚人である」

このdeviceは装置ではなくて、計画やたくらみなどの意味であって、

要は「自業自得で欲におぼれた」ということらしい。


次も物騒だが意味不明


主人の部屋に祝宴のために集まり

ナイフで刺したが野獣は殺せない


steely knivesは鋼鉄のナイフという意味だが steelyが Steely Danを意味しているという説あり

Steely Danという名前は聞いたことはあるが、どういう人か、イーグルスとどんな関係があるのかはわからないが、そんなめんどくさいことするかなと思う。

そして、ナイフで刺すとあるが何を刺すのか。これもわからない。

こういうよくわからない、曖昧というか、意味が成り立たないフレーズが目立つ。


まさか集まった人同士でナイフで刺しあうというわけではあるまい。


Last thing I remember, I was

Running for the door

I had to find the passage back

To the place I was before

"Relax," said the night man

"We are programmed to receive

You can check out any time you like

But you can never leave"


さすがに「私」はホテルから逃げようとするが、

「チェックアウトはできるけど去ることはできない」

という理不尽なセリフで終わる。


説明不足で唐突で理不尽でモヤモヤしたまま終わる。

曲調は強い感傷的なものがあるのに、それと結びつかない。

この曲が名曲だ!と言い切れないのはそういうところにある。


まあ、推測するに、「ホテルカリフォルニア」はCaliforniaという地域を象徴するもので、カリフォルニアで経験したこと、カリフォルニアの文化や習慣、カリフォルニアの人々(特に女性)に対する幻滅や哀れみみたいなことを伝えたかったのかな。

カリフォルニアとか西海岸という地域はアメリカの中でも独特の文化があるときく。


ビートルズやボブディラン、ザフー、などはどういう人たちでどういう経験をしてきたかなどをある程度知っているからこの曲はこういうことかな、というのがわかるけど、イーグルスについては全くと言っていいほどしらないので、推測のしようもないのだが。

そして、イーグルスについて興味を持って、違う曲も聞いてみようとか、メンバーはどういう人たちでどういう経歴なのかとか興味を持つこともなかった。


ネットにはいろんな解釈が、大げさな深刻な解釈をしている人が見られるが、本人たちのインタビューで単なる語呂合わせだ、みたいなことを言っているのもあるし、おそらくそんなに大した意味はない。

意味がないのは別にいいのだが、意味があるかのように見せかけるのはよくない。

イーグルスはメンバー間の不和があって、解雇とか訴訟とかあったらしいが、この曲だけを見てもなんとなくバラバラな感じがうかがえる。

そして、歌詞の内容を改めて確認してみて、この曲を聴いて何か感慨にふけるとか、感傷的になるとか、ようするに音楽として感動できるかというと、どうしてもできない。カリフォルニアに対する愛情も、哀しみも、そこで出会った人々や経験への追憶のようなものもない。ただの苦く忘れたくても忘れられない暗い影みたいな、そんなものがイメージされてしまう。


2025/04/27

エリッククラプトン 武道館 2025/4/26

彼が何度も来日していたのは知っていたが、観たのは初めて。

特に好きなアーティストというわけではないが、好き嫌いは別にみとめざるを得ないような存在だった。

だから、彼のめぼしいアルバムはだいたい聴いていて、今回のライブでも知らない曲はほとんどなく、もう聞き古した聴きつくした感さえあるような曲ばかりだった。


土曜日の18:00から。

天気はあまりよくなくて、そろそろ出かけようかというときに強い雨が降った。と思ったらすぐやんで、駅で電車を待っていたら虹がかかっていた。

武道館の最寄り駅は地下鉄の九段下であるが、駅へも駅から武道館へもあまりアクセスがよくないので、市ヶ谷から歩いた。

会場に着いたのは開場時刻の5時ごろだったが、すでに大勢の人がいた。さすがに年齢層が高い。自分と同じかそれ以上の人たちばかり。服装、髪型、表情も、地味というか質素というか、穏やかな空気に満ちていた。

最近は荷物検査などが非常に厳しいのだが、「荷物は自分で見せてください」という貼り紙がしてあるだけで、チケットを見せ、ちいさい肩掛けかばんを持っていたが特に開けることもせず開けてくださいと言われることもなく、中に入れた。拳銃でさえ持ち込めただろう。


席は東の2階だった。ステージに向かって右30度くらいのところ。演者までの直線距離は50mくらいだろうか。


クラプトン以外の演者は、白人の左利きのギターが一人、黒人のベースが一人、黒人のキーボードが一人、白人のキーボードが一人、黒人のドラムが一人。誰も知ってる人はいなかったが、ベースはネイザン・イーストという有名な人らしくて、彼がボーカルをとる曲もあった。

あと、黒人の女性コーラスが二人いた。

ステージの上には大きなディスプレイが3枚くらい設置してあり、表情や手つきなどを見ることができる。ほとんどそっちを見ていたかもしれない。時々、せっかく生で観てるんだからもったいないとステージを観たりしていた。


前評判はネットでなんとなく見ていたのだが、思っていたよりずっとよかった。

そして、演奏を聴いて彼の姿を見ながら、エリック・クラプトンとはどういうミュージシャンなのか、と改めて考えた。

彼はまずギタリストであるが、シンガーでもある。ギターを弾きながら歌うミュージシャンはたくさんいるが、彼ほど「歌える」ギタリストは稀である。

そして、彼のギタープレイであるが、彼は主にブルースを演奏する。今回のライブでもロバート・ジョンソンなど、いい意味で「ただのブルース」を何曲か演奏していた。

私は少しギターを弾くが、彼のプレイを真似しようと思ったことは全くと言っていいほどない。観たり聴いたりしていて、うまいのだろうなとは思うが、すげぇ、とか、素晴らしい、とか、天才だな、とか思うこともない。

彼のギターソロはなんというのか、雑味やエグみみたいなものがなく、きめ細かく自然で無理がなく体に染みわたるようなものに感じる。

若いころはおそらくそれが退屈だと感じてあまり好きにはならなかったのだろう。




2025/04/13

龍三と七人の子分たち

武の映画で唯一(たぶん)観ていなかった「龍三と七人の子分たち」を観た。

別につまらなそうだからと見送っていたわけではなく、公開されたことを知らなかったのだ。

だいぶ前にこの作品のことは知ったのだが、ようやく観た。

座頭市やアウトレイジは話題になったがこの作品はあまり話題にならなかったように思う。だって公開されたのを気づかなかったくらいだから。


この作品は基本的にコメディであるが、やはり武の映画に暴力や残酷なシーンは欠かせないのか。でも本当に最小限に抑えられていた。

年取ったヤクザの悲哀みたいのを前面に出されるのもつらいので、それも抑えられていたのはよかった。


この映画がどういう評価をされているのか知らないのだが、たぶん「中途半端」みたいに感じる人が多かったのではないだろうか。

漫画を読んでるようなものと受け取って楽な気持ちで観れば、面白い映画だと思う。