2011/05/08

突撃



キューブリックの初期の作品。
カーク・ダグラス主演。マイケルダグラスそっくりである。これがオヤジなのか、とわかった。
タイトルから勇ましい戦争映画かと思いきや戦闘らしい戦闘はなく、それどころか兵士が「突撃」しなかったことで裁かれて処刑されるという話であった。

登場人物の自然さ、その自然さというのも一人一人の多少クセのあるところがそのまま出ている自然さ、登場人物A,Bとかいう作られたものではなく、本当に生きている人間のように描かれるのはキューブリックの映画を見ていていつも感心するところだが、どうしてそんなことができるのだろう?

それは、ちょい役によく現れる。名もなき役というのは得てして無表情な不自然な固い演技になるものだが、そういう人々が肩の力が抜け、自然に、生き生きとしている。すみずみまで血が通っているという感じだ。

この映画について、スピルバーグがあるシーンをほめていたのを見たことがあるのだが、忘れてしまった。
でも、そんなことはどうでもいい。

これでキューブリックの作品は全部観たか・・・とwikipediaで確認してみると初期の頃の作品でまだ観ていないものがある。

一番好きな作品は、フルメタルジャケットかな。スパルタカスは高校生の頃深夜にテレビで見ておおいに感動したのだがキューブリック自信はあまりいいと思っていないようである。あとは、時計仕掛けのオレンジ。

突撃も、観たばかりだが抑制された描き方でありつつ変に斜に構えてもいないので好感を持った作品のひとつだ。処刑される3人の様子が三者三様にとてもよく描かれている。

「2001年宇宙の旅」は、衝撃を受けはしたが傑作だとは思わない。
ちょっと気負いすぎな感じ。

キューブリックはもっとなんでもない平凡な話を撮ったらよかったのに。
なんだかみんな殺人とか戦争とか常軌を逸した話ばかりだが、彼のよさは何気ないシーンにある。
アイズワイドシャットがそれに近かったのかな。

ダグラスとキューブリックはスパルタカスでも一緒に仕事をしている。
ダグラスは単なる俳優でなく製作者でもあり、キューブリックとは衝突があったようだ。
だが私はダグラスが主演のこの2作品が好きだ。
感情や正義のようなものを前面に出すかどうかが二人の意見が割れるところだったらしい。
そして、この2作品は客観的になりすぎもせず、メッセージ色が強すぎることもなく、いいバランスになったのではないか?