2007/09/04

どですかでん

どですかでんを録画したので寝る前に見てみた。かなりハチャメチャである。やたら役者が多い。ストーリーらしきものがない。カラーである。クロサワでカラーのものといえば、影武者、乱など最近のものしか知らない。影武者は子供の頃映画館で家族で見に行ったのだがよく覚えていない。乱はテレビでやっていたのをチラリと見たのだが、あまりいい印象はない。どですかでんは、どうやらクロサワの初のカラー作品のようである。色彩がどぎつい。赤、青、黄色などの原色をガンガン使っている。古ぼけていていい感じになっているが、あまり品のいい色使いではない。真っ赤な洗面器とか。

これはオリジナル脚本ではないだろうか。あと、武が座頭市で槍を持って走り回る男について、どですかでんのオマージュだとか言っていた記憶がある。

オリジナル脚本ではなかった。興行成績はよくなかったらしい。そりゃそうだろう。かなりぶっ壊れた映画だ。監督ばんざいとかがかわいく見える。やっぱりクロサワは腕力が違うという感じがする。まああんまり好きではないんだけど。

どですかでんの後半を見た。乞食の親子の子供が死に、酒飲みの娘が人を刺した。
最後は突然やってきた。原作はどんな感じだったのか少し読んでみたい気がした。
ネットでアマゾンのレビューを見たら、映画は小説を読めない人のためのものか、という言葉があった。
私はそこまでは思わないが、小説として成立しているものをそのまま映画化することには否定的である。
また、作り物である映画や小説に感動して涙を流すというのも、道徳的な観点からするとどうだろうかと思う。
だから私は三島とかキューブリックとかの人を皮肉ったような作品を好むのかもしれない。
それはそれでまた悪趣味ではあるけど、人が死ぬとか、弱いものを助けるとか、苦しみに耐えて成功するとか、そういうことを架空の世界でつくりあげて感動する、というのが文学の目的でないことは確かだ。
星は4つにせねばなるまい。
☆☆☆☆★