2024/05/16

アンナ・カレーニナ(第二編)

第二編まで読み終わった。

iPhoneのkindleアプリで米川正夫訳を読んでいるが、文庫本で持っているのは新潮文庫の木村浩訳の上中下巻である。

第二編までが上巻に収められているが、分量的には第二編までで31%である。kindleだとページの下にパーセンテージが表示される。

アンナの「不倫」が進行し、夫にも知られる状況となった。この「不倫」は夫の目を盗んでこっそりおこなわれたようなものではなく、心から夫に愛を感じなくなり、別の男を心から愛してしまった本気の恋愛である。

私はこの作品においてアンナは清純でむしろ兄の不倫を憎む聖母のような存在なのかと思っていたのだがそうではなく、むしろアンナこそが不倫に溺れてしまうのだった。

そして私はこの作品を読んでいて、だんだん、トルストイの女性嫌悪、特に性欲に対する嫌悪というものが感じられてきた。もっというとミソジニーである。

アンナの不倫は事情があって仕方のないことだというようなものではない。夫に魅力がなくなり愛情も感じなくなったとは言っても他の男を愛することが許されるようなことは何もない。単なる浮気でしかない。

トルストイはなぜこのような不倫に落ちる女性を主人公とした作品を書こうと思ったのだろうか。そこに何を感じたのだろうか。モデルはプーシキンの娘だとかいう話も読んだが、ここまでではアンナは魅力的な女性ではあるが高潔で立派な人物としては描かれていない。

むしろ、その周囲にいる素朴な人々をそれと対比させて、それらの人をたたえているように感じる。