今年のセンター試験の国語で小林秀雄の文章が出題されてそれが難問であったことが話題になった。私もやってみたがたしかに何を言いたいのかよくわからない文章だった。
小林秀雄の書いたものは少しだけ読んだことがあるが、どんな内容だったかはほとんど覚えていない。
「様々なる意匠」は昭和4年、小林秀雄が27歳のときに書かれたもので、この作品が彼の文芸批評家としての名を世に知らしめたものだったようだ。
タイトルだけは聞いていたが今回初めて読んだ。
新潮文庫の「Xへの手紙・私小説論」というタイトルの本のなかに収められている。
やっぱりよくわからない。「意匠」というのは文学の「ナントカ主義」という物のことである。挙げられていたのは、「マルクス主義文学」「写実主義」「象徴主義」「新感覚派文学」「大衆文芸」などである。
自分でもそういっているが特にこれらを批判したり否定したりしているわけではない。
でも、私には小林はこのような「ジャンルわけ」みたいなものがあまり重要でないこと、ごく表面的な分類でしかないと言いたいのではないかと感じた。
たくさん固有名詞が出てきた。ボオドレエル、バルザック、マルクス、プラトン、アルマン・リボオ、スタンダアル、井原西鶴、フロオベエル、モオパッサン、ジェラル・ド・ネヴァル、ポオ、マラルメ、ワグネル、ベルリオズ、「ドン・キホオテ」、ダンテ、グウルモン、ニイチェなど。
とくに、マルクスについて、プロレタリア文学について多く語られている。はっきり言ってはいないが、彼はマルクスを只者ではないと認めつつも非常に警戒しているように感じる。
私はこれらの人物の名前はだいたい知っているが、作品を読んだり音楽を聴いたりしたことがあるのはほんの一部でしかない。
とにかく大変な量の読書をして考えた人なのだろう。27歳なのに、老人のような文章である。