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J.D.サリンジャー 野崎孝訳 「ライ麦畑でつかまえて」

白水uブックス。 上半分が青で、下半分がクリーム色で、ピカソの書いた子供の落書きみたいな犬だかなんだかわからない顔の描いてある表紙の本。

これは私が高校生、高校3年だったと思う、の頃に読んで、大変感動したものである。

感動したので友人に貸したのだがその友人はあまりおもしろくなかったらしく、なかなか読まなかったのだがそのうち彼とは疎遠になってしまった。

今回読んだのは、数年前に古本屋で見かけて懐かしいなと買っておいたものである。


サリンジャーの作品は全集を買っていくつか読んだことがあるが、「ライ麦」はちょっと異色で、文体が極端に口語的なようだ。そのため訳者も非常に苦労したらしい。


「ライ麦畑でつかまえて」というタイトルはすごくゴロがよいが、「The cather in the rye」という原題とは少しイメージが変わる。


私はこのタイトルを見たときに、女の子が自分の好きな男の子にむかってあたしを捕まえて、捕まえてごらん、というような意味なのかと思った。


だが、実際は主人公は少年であり、捕まえて欲しいのではなく自分が捕まえたい、という意味だった。

そして捕まえるのは自分の好きな女の子ではなく、落ちこぼれそうな子供達であった。


主人公のホールデン・コールフィールドは、自分の周囲の人間、学校の同級生とか、教師とか、街で出会った人々などに悪態をつきっぱなしなのだが、その悪態のつき方がユーモアがあって、愛情があって、読んでいて心が和む。本気で人を憎んだり否定したりしていないのだ。


久しぶりに読んでみて、文体に違和感や古臭さを感じるところもあったのだが、やっぱり名訳だと思う。

最近、村上春樹が翻訳を出したが、タイトルは「キャッチャーインザライ」だった。「つかまえて」を超えるタイトルが見つからなかったのだろう。

読んでないのだが、野崎訳に満足できなかったらもう原文を読めばいいと思う。


サリンジャーがなくなったニュースは聞いたのだが、野崎さんはもっとだいぶ前に、1995年に亡くなっていた。