2012/10/23

魔の山 (5)

五章まで、つまり上巻を、つまり、半分まで読み終わった。

五章は長く、ちょっと退屈しかけたが、最後の「ワルプルギスの夜」は圧巻だった。

ここが名場面であることは、前回読んだときにどこかで読んでいて、
楽しみにしていたのだが結局そこまでたどり着けなかった。

それまであいさつをするだけで有頂天になっていたくらいだったショーシャに、
愛の告白をしてしまう場面である。
その日はカーニヴァルで、ハンスは酒も飲んでいて、セテムブリーニを「君」呼ばわりし、
気が大きくなっていた。
さらに、彼女とやっと会話ができたと思ったら彼女は明日には去ることを告げられて、
大変な口説き文句を、フランス語でやってのける。


ただ、私が読んだ岩波文庫の翻訳では、フランス語の部分がカタカナになっていて、
それまでは徹底的に感情が抑制されていたのに、なんだか安っぽいといってもいい、
ロマンチックなやり取りになって、読んでいてちょっと恥ずかしくなり、
最後のセリフでは思わず笑ってしまった。

カタカナなのがなんだか滑稽で「キモい」感じになってしまっている。

ここを含めて、あちこち、原文はどうなっているのだろう?と思うところがある。
全部ドイツ語で読むのは無理だが、一応原文を入手しておきたいな・・・。


今ちょっと検索したらショーシャが戻ってくることを知ってしまった。
なかなかやるな、トーマス・マン・・・。