2012/11/09

マキアヴェッリ 「君主論」

「君主論(IL PRINCIPE)」 マキアヴェッリ著、黒田正利訳
岩波文庫、昭和10年第一刷、昭和50年第38刷発行

1512~1513に書かれた。当時の著者は今の私と同じくらいの年齢である。

もっと古い時代の人かと思っていたが、ルネサンス期の人、レオナルドダヴィンチと同時代の人だった。

この書についてはあまりにいろいろなことが言われすぎていて、どうせああいうものだと思って読まないか、変な先入観を持って読んでしまいやすいのではないだろうか。

私は古本屋の店頭の100円コーナーにあったのを見つけて買ったが、これまた読まずに本棚に置いてあったものである。


君主のとるべき態度を語っているのであるが、それは私がイメージしていたような冷たいものというより、必死さを感じた。また、聖書でモーセがイスラエルの民に言って聞かせるような強固で絶対的なものでもない。

そしてそれらは原理原則のようなものではなく、過去の歴史を振り返って経験則として導き出されたものである。それがいいとか悪いとかを判断する前に、他民族多国家がひしめくヨーロッパだから生まれた思想ではないだろうか。これは、天から降りてきたものではなく、明らかに地上から芽生えたものである。そういうものが、「ルネサンス」なのだろうか。

最後の方で、なるほどと思ったところが一箇所だけあった。

由来運命の神は女神である。だからこれを支配するためには撲ったり突いたりする必要がある。冷静に事を処理する人よりも、どうもこうした人にもっとよく従うものであるらしい。だから運命は、女と同じく、つねに若者の友である、これ青年は思慮浅く、乱暴で、しかもよく大胆に彼女を支配するからである。